この記事は、今はもう離れてしまった友人へ。
記憶に眠る思いを込めて、贈ります。
…お久しぶりですね。お元気でお過ごしですか?
大学卒業後、連絡を取る事も無くなってしまいましたが、心の中で、ずっと心配していました。
心配、と言っておきながら、在学中、貴女の抱える辛さに寄り添いきれなくて、本当にごめんなさい。
辛さを打ち明けてくれた事、一緒に勉強出来た事。
一つ一つが、今でも思い起こされる、大切な記憶です。
あの時の私が言えなかった事。
今なら、言える事があります。
ちょっと偉そうに聞こえてしまったら、ごめんなさい。
どうか、自分に胸を張ってあげて。
周りの目を気にしすぎないで、自分らしく生きてほしいです。
辛い時、悲しい時、苦しい時。
自分自身を、大切に。自分を愛してあげてほしい。
私は貴女の生き方を、ずっと応援しています。
…友人は、私が初めて会った、LGBTQ+の女の子でした。
友人が打ち明けてくれる前に、なんとなく、雰囲気から伝わって。
同時に、とても悩んでいる事も、伝わってきました。
…言い訳めいてしまいますが、当時の私には、彼女の悩みを想像する事も難しくて。
ただただ、辛い気持ちを、一生懸命受け止めようとするのが精一杯でした。
けれど、私の器では、受け止めきれなくて。
最後は逃げるように、相談窓口を紹介して、卒業を迎えました。
あの時の事が、十数年経った今でも、ずっと心に残り続けているのです。
彼女が流した涙が、私の心に問い掛け続けている。
もっと、私に出来る事があったんじゃないか。
どうして、冷たい対応をしてしまったんだろう、と。
…今となっては、友人に直接謝る事も出来なくて。
今、どこで、どんな風に暮らしているのか、知る術もなくて…。
きっと、幸せでいてほしい。
彼女の事を、あたたかく見守る世界に。
どうか、包まれていますように。
風花猫 敬具